丸の内仲通りを歩いて楽しい空間へ

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丸の内仲通りの歩行者空間は、どう育ってきたのか

~ハード(空間づくり)とソフト(合意形成と運用)の両輪で進んだ“道路も広場”のまちづくり~

はじめに

丸の内仲通りは、いまや都心を代表する“歩きたくなるストリート”です。木陰やベンチ、オープンカフェ、季節のアートやイベント、そして期間限定で「通り全体が公園のように」なる社会実験まで、通りの使われ方は大きく変化してきました。

この変化は、道路や建物の設計・しつらえといったハードと、地域・行政・民間が社会実験を重ねて築いたソフトの両輪で、段階的に実現してきました。

ハードの取り組み(空間づくり)

1)仲通りに「駐車場出入口」を出さない

歩行者空間化が進めやすかった理由の一つが、仲通り沿いに車の出入り口(駐車場出入口)を設けない/設けにくい前提です。

従来、丸の内仲通りは"企業の顔"として磨かれてきました。そのため、丸の内仲通りに面する建物の駐車場出入口は東西道路などに配置する方針が取られてきました。

この前提があることで、

  • 歩道が“途切れにくい”:駐車場の出入口がないため、歩行者動線が分断されにくい。 

  • 通りの表情が“連続する”:飲食店や店舗が並びやすく、滞在空間(テラス、ベンチ、植栽)を置いても成立しやすい。 

  • 交通規制の実装が現実的:車両の出入りが多い通りほど規制が難しくなりますが、その障壁が相対的に低い構造でした。 

といった、車両と歩行者の交錯が少ない安全・快適な歩行者環境という“構造的な強み”が生まれ、後述するソフト施策(社会実験の積み上げ)を受け止める土台になりました。

2)丸の内ストリートギャラリー(1972年〜):通りを“文化資産”として育てる

丸の内仲通りを語るうえで外せないのが、丸の内ストリートギャラリーです。1972年から続く屋外彫刻の取り組みであり、通りそのものを「歩く展示空間」にしてきました。こうした常設的な文化コンテンツが、日常の歩行体験を底上げしています。

ソフトの取り組み(合意形成と運用)

丸の内仲通りの歩行者空間は、いきなり今の形になったわけではありません。ポイントは、「小さく試す」→「改善する」→「少し長く・広くする」を繰り返し、関係者(地域、行政、道路管理者、沿道事業者)の納得と運用ノウハウを積んできたことです。

起点:ランチタイムの歩行者天国(ランチョンプロムナード)

丸の内仲通りでは、1985年から昼休み時間帯に交通規制をかける「ランチョンプロムナード」が実施されてきました。この段階からすでに、通りを「車中心」ではなく「人中心」の使い方で“現場にて回してみる”経験が蓄積されていました。

1999年〜:東京ミレナリオ等、大規模イベントで“運用力”が鍛えられる

1999年からの「東京ミレナリオ」は、丸の内仲通り等を会場にした光のイベントで、多くの来街者でエリアを賑わせました。この種の大規模イベントは、単に賑わいを生む以上に、交通規制・安全対策・動線設計・近隣調整といった“都市運用の力”を育てる機会となりました。

2007年〜2008年:スポーツイベント“通りそのものが舞台”になる

  • 東京ストリート陸上:50mの陸上トラックを設置、50m競走、50mハードル走、棒高跳などの競技を行った。

  • 自転車スプリントGP(グランプリ)全長300mの自転車走路を設置、北京オリンピック代表選手を含む自転車競技トップアスリート8名が集結

スポーツやパフォーマンスを道路実施するには、関係者との調整難易度が高い分、実現できると“通りの価値の見せ方”が一気に広がります。結果として、地域側・行政側の理解を積み上げることができました。

2010年代~:時間帯・期間を伸ばし「アーバンテラス」

2014年、丸の内仲通りが「国家戦略特区の道路占用特例区域」に指定。官民一体で将来像を描き、約2年間のモデル事業・実証を重ね、2017年から「アーバンテラス」を本格稼働しました

2019年〜現在:Marunouchi Street Parkで「長時間・長期間(公園化)」を試す

丸の内仲通りを“24時間の公園空間”として扱う期間限定の社会実験へと進み、これまで難しかった仮設建築や天然芝、アートインスタレーションなどの空間設計にも挑戦し、2025年のMarunouchi Street Park 2025 Winter時点で累計15回実施されております。

外部評価:空間づくりが「街の外」からも高く評価されている

丸の内仲通りの取り組みは、外部の審査機関からも空間づくりとして評価されています象徴的なのが、グッドデザイン賞」の2度の受賞「まちなか広場賞 大賞」です。

丸の内仲通り(およびその整備・運用を含む取り組み)は、グッドデザイン賞を2000年と2014年の2回受賞しています。ハードの質(歩行者中心の街路空間の整備やデザインの統一感)と、ソフトの質(官民連携による運用や活動の積み重ね)がセットで評価されてきたことを示す、わかりやすい指標です。

また、「丸の内仲通りアーバンテラス」は、道路空間を滞在・交流の場として日常的に使いこなす取り組みとして評価され、第5回 まちなか広場賞大賞を受賞しています。これは、単発のイベントではなく、交通規制や什器設置、運営ルールなどを継続的に回しながら、通りを“まちなかの広場”として成立させている点が外部から認められたものです。

まとめ:仲通りの強みは「設計」と「運用」が両方“積み上がっている”こと

丸の内仲通りの歩行者空間化(公園的活用)が進んだ背景には、

  • ハード:仲通りに駐車場出入口を出さない配置や、歩行空間の拡幅・デザイン統一・低層部店舗化、ストリートギャラリーなど、歩行体験を支える空間づくり

  • ソフト:1985年の短時間歩行者天国から、大規模イベントや各種社会実験を経て、Urban Terrace、Marunouchi Street Parkへと段階的に拡大した合意形成と運用

が、時間をかけて重ねられてきたことがあります。

丸の内仲通りの歴史は、「最初から完璧な歩行者空間をつくる」のではなく、『小さく試し、評価し、広げる』を繰り返したプロセスの物語です。これからも、季節や働き方、技術の変化に合わせて、アップデートを続けていきます。

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